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仲間
マーケット自体をやめさせるわけにもいかず、厳戒態勢で警備に当たっている。しかし、このような残虐な方法で不特定多数の人間を殺すような殺人鬼が他にいるだろうか。大きな刃物で切り裂かれた死体はおおよそ、模倣できるような代物ではない。もしそれを真似てやっているなら死体を見たことがある警察当局ということになる。証拠品を公開しないまま、捜査を続けていることから広がった闇が警察まで脅かしているということ愚かにも彼らは気付かないのだろうか。 〈英国の名門 実業家にして伯爵 アイザック・G・アルバート卿訪米〉 アメリカの大造船企業、ブルーアクアマリン社社長クランス・フォン・クライストガーデンが今月挙式を上げるということで、旧来の友であるアイザック・G・アルバート伯の乗った船が一月十六日、ニューヨーク港に到着した。友人の婚約者であるセンツァバーグ家を訪問したのは同十六日であり、クランス伯によれば先の英国のシーズンに向けて花嫁を連れて帰国するという意向を提示。今回の訪米はその社交のパイプ役としてのお目見えである。アイザック・G・アルバート伯はき つい癖で他の記事をぼんやりと見ていたことに気づき、ローズは顔を上げた。 「切り裂き、ジャック」 いいニュースと悪いニュース。そのどちらにも関連がある自分を嘲笑しながら、ローズは笑った。そして背中の椅子に腰をかけて目を瞑る。頭痛はもうしなかったが、今度は耳鳴りがし始めた。 車を止めろ、だの、抵抗すれば撃ちますなんだのかんだの。なんなのだろう。騒々しい。 ドバンと扉が開いた。停止した車の反動を受けて、前につんのめる。 「がっ」 お嬢様らしからぬ声をあげたお嬢様は、前の座席に顔をぶつけた。鼻頭を盛大に打ったが、笑う余裕はなかった。 「一体、どうし そして目を見張った。 目に映ったのは金髪の美女。赤い唇が印象的だ。蟲惑的な笑みを浮かべてこちらを見つめている。手には拳銃を握っている。銃口はこちらに向けられ、唖然とするよりも喉がつっかえて声もでない。 『お嬢様!!』 ばん、と窓ガラスに手が叩きつけられた。運転手が外に出されている。 口を開く間もなく、窓ガラスが赤一色に染まった。 「?」 一体何が起きたのか、ローズにはわからなかった。ただ、何か重たいものが窓ガラスにどっと張り付き、それが首を切断させられた運転手だと気付いたのはそれから数拍経ってからのこと。 「ひっ」 「エヴァ!!出して!!」 隣で銃口をこちらに向けたまま、女性が怒鳴り声を上げた。
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