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仲間
取り残されたクランスは絹の上に取り残された指輪を見た。指輪は取り立てて光も無いのに、きらきらと輝いていた。本当に美しい精巧で小さな薔薇の花弁が一つ一つ煌いている。
クランスはそれを手に取ると、指輪の裏側を見た。輪の裏側には何か文字が彫ってあった。けれど何かで削られているのかよく見えない。
「これだ。アンティークのものが好きなら、こっちの方がまだいいだろう。同じヴィクトリア時代に作られたものだ・・・・・。銀の純度が高いからすぐに腐食するが、上物のダイヤモンドを使った一級品だ。三カラットの大粒、質のいい石。カットもいい。石のことをよくわかっとる。これほどのものはなかなかないさ」
「これを下さい」
間髪いれずにクランスはそう言って懐から財布を取り出す。
「いくらです?いくらでも書きましょう」
財布に入れてあった小切手を取り出して、机の上に置く。
流石に目を丸くした老人は、気でも狂ったのかというような顔をしている。
「これが欲しいんです。これじゃないと、いけないような気がするんです。僕の婚約者、名前をローズといいます。ここまで偶然が揃っているのに、他の指輪にしようなんてもう考えられません」
奇妙な偶然もあるもんだ、と老人は再び零した。
老人はじいと指輪を見ていたが、ちょっと待っていろと小さく言うと店の奥から小さな指輪の箱を取り出してきた。その中に指輪を入れようというのだ。老人はそれを綺麗に布で磨いて、箱に収めるとそれをすいとクランスの方に押しやった。クランスはありがとうと嬉しそうに微笑みズボンのポケットの中に押し込んだ。
「言い値でいいといったな」
にやり、と老人が微笑んだ。
流石にその問題が残っていた。家が没落してしまうほどの金を請求されたらどうしようという危惧があったが、クランスはごくりと唾を嚥下したまま、その時を待った。
そして、老人は全く信じられない額を提示した。
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