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仲間
出せ、と短く言ってアルバート伯はクランスの青い顔を見た。 「定時になっても君から何も連絡がなかったので、一足先にセンツァバーグ家に寄らせてもらったのです。そうしたら君も、ご令嬢もまだ帰っていないと聞きました。時間に正確な君が遅れるのはおかしいと思って執事に聞いてみたところ、レディ・ローズは君と一緒に結婚指輪を選びに行ったと。冷やかして差し上げようと車で出ていたら、切り裂きジャックがレディ・ローズが向かった先に出たという話を聞きました」 結構なスピードを出しながら、車は走る。 かたかたと車に合わせて体が震える。友人の姿を見てアルバート伯は、大きく溜息をついた。 「行ってみればそこは血まみれでした。レディ・ローズの乗っていた車は何者かに奪取され、令嬢の出かけにかぶっていた帽子だけが残されていたということです。切り裂きジャックが何を思って令嬢を誘拐したのかはわかりませんが、とにかく、そういうことです」 「・・・・・・」 「五時半には既に警察は動き出しました。私が現場に行って見たのはおびただしいほどの血痕と回収された令嬢の帽子だけです。どうやら血液は運転手のものだと思います。近くに、首が転がっていましたからね。・・・・・クランス、君、今日時計はどうしたんですか?」 今日に限ってもっていないことは無いだろうと思って、アルバート伯は横目でクランスを見た。みればきちんと胸ポケットの中から外に金の鎖が見えている。 「失礼」 帽子をようやく頭から取り、身体を抱えたクランス。アルバート伯はそこから懐中時計を取り出した。そして、眉間にしわを寄せた。 「クランス、時計が止まっています。君が時間を気にする性分なのはわかっていましたが、巻きが弱かったのか、止まっていますよ」 それでもクランスは一言も発しなかった。 「大丈夫ですよ、クランス。何があっても、必ずレディ・ローズは見つかります」 断言しても、クランスは真っ青な顔を白くさせるだけで。 仕方ない、とアルバートは言って、窓の外を見た。
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