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邂逅 「いや。きちんとこれでも調整したんですよ。K。けれどやっぱり無理だったみたいですね。 にっこりと悪びれなくエヴァンスが言って、姉を見た。 しなしなになった金髪の髪を一房つかんで、姉は弟を見た。 「エヴァ。無茶苦茶ですわ」 「だから言ったじゃねぇか、車は一台にしとけって!」 「いやですわ。あなたのような野獣と一緒に乗ったら車が壊れますわ」 「だったらクロウの車に乗ればよかっただろうが!!」 「あなた、運転できないくせにえらそうなこというんじゃありませんわ!」 仕方ないな、小さく零れた声がしたと思った。 二人の顎の下には銀と、黒の銃口がそれぞれ向けられていた。 「それどころじゃ、ないんだけど、ね?」 とてつもなく美しい微笑を浮かべて、ローズが二人を見た。 二人はローズを見て、生唾を飲み込んだ。 これは、あの、レディ・ローズではない。間違いなく彼女だが、間違いなく彼女ではない。彼女だ。ローズ。 「ロ、ローズ。記憶が?」 うふふ、と笑いながら銃口を横に退けたエミリアが彼女の鳶色の瞳を見た。 「げ」 フィリップはそれだけで、身を後ろにずらした。 「リア、それからトーマス。待たせたね。・・・・・あ、そうそう。トーマス。君は後でお仕置きをしなくちゃね。私が記憶が戻っていないことをいいことに、散々言ってくれちゃっただろう? お礼がしたいんだ」 ぞわりとトーマス、ことフィリップは総毛だった。これは、本物だ。 エミリアは背後に立っていた弟を見た。エヴァンスは肩をすくめて、エミリアを見ただけだった。そして、銃を抜いて、それを己の脇の下に滑り込ませ、後ろのモノを撃ちぬいた。エミリアがエヴァンスの肩に銃を置いて、黒い塊の眉間を打ち抜く。空の薬莢が飛んだ。 「ジジイ!!またお前銃を持ってきてねぇのかよ!」 見上げるK。微笑む、フィリップ。フィリップは口の端をにいとあげ、それから両手の手袋を見せ付けた。 「これこれ。最新型ー。銃なんかなくても俺はガキと違って体力も気力も頭脳もあるからな」 フィリップの豪腕が飛び掛ってきたそれの腹部を凪いだ。明らかにいやな音がして、顔をしかめたKはそれでも性格にそれの顎を射抜いた。そして、倒れたそれにもう一発、弾を叩き込む。 「そういうのを野蛮、野獣って言うんだぜ。ジジイ」 そうしてフィリップが突進していく先についていく。 ローズはそれを見た。真っ直ぐに見上げて、小さく笑った。泣きそうな顔をしているそれの手を持って、その左手を弾いた。そこに嵌められている指輪が光った。 けれど何も語らない。 クロウはローズの頬に触れた。 ほっそりとした白い頬。鳶色の美しい瞳。かつて自分が、ローテローゼと称した綺麗な髪。それに指を絡めて、抱きしめる。 「痩せた・・・・・」 「うん・・・・・随分、待たせた」 五年前引き離されて。五年間探して。五年間、待ってくれた。 信じて、何もかも。 「リー」 だから。 「ありがとう」 手に戻った指輪を見せて、彼女はこの上もなく美しく笑った。 「行こう」 昔のままの顔で。
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